子供のケガ

「子供は大人のミニチュア版ではない」

子供の時期に起こるケガには、この時期特有のケガがあります。 
その為、ケガの治療や予防を行う際に子供の運動器の特性を十分に理解しておく必要があります。

「子供の骨の特徴」

【骨密度が低い=骨が弱い】

子供の骨は大人の骨と比べると、骨密度が低く骨折をしやすい状態です。
近年、子供の骨折発生数が増加していることが明らかになっています。

【骨端線が存在する】

子供の骨には、骨端線と呼ばれる成長期特有の軟骨組織が存在します。
この【軟骨組織】のケガが子供のケガで最も注意が必要であり、骨の成長に大きな影響を与える可能性があります。

「成長痛と成長期スポーツ障害の違い」

【成長痛】

“幼児から思春期の成長期に起こる子供の足の痛みの総称(呼び名)“として、広く使われています。

  • 夕方から朝方にかけて股関節・膝・かかと・足の甲などに痛みを訴えるも、朝になると痛みがなくなっている
  • 痛みの部位に腫れがなく、押さえても痛くない
  • レントゲン検査では異常がない
  • 温めたり、さすったりすると痛みが和らぐ

このような場合は、成長痛が考えられます。
たまに、オスグッド病やシーバー病など運動をしている子供に多いスポーツ障害も成長痛として表現されることがありますが、同じではありません。

【成長期スポーツ障害】

成長期のスポーツ障害には、成長痛とは違いはっきりとした痛みの原因や特有の症状があります。
子供の骨や軟骨は非常に弱く、繰り返しの【強く引っ張られる力・圧迫される力】によって変形したり傷ついたりします。
スポーツをしている子供で慢性的に痛みが続く場合、安易に考えず注意が必要です。
よく耳にすることが多い成長期スポーツ障害の一つに、“オスグッド病“があります。
比較的軽視されやすい疾患ですが、正確には“骨端軟骨障害“と言います。
“障害“と呼んで字のごとく、今後の成長や運動機能に影響を与えうる疾患です。
成長痛と言われたり、ただの使いすぎによる痛みと誤解されている骨端軟骨障害は他にもたくさんあります。
骨端軟骨障害は早期治療が大切です。
治療開始が遅くなることで、手術になるケースもあります。
子供の周囲にいる大人たちが、適切な治療環境を作ることが大切です。

「成長期スポーツ障害の予防は?」

【練習メニューや練習頻度を見直す】

小学生・中学生・高校生それぞれで骨の成長度合いが違います。
各カテゴリーで成長度合いに見合ったメニューや頻度にすることが大切です。

【正しい体の使い方を身につける】

体の同じ部位に負荷がかかるような体の使い方だと、その部位のケガのリスクが高まります。
また、治ったと思っても再発する可能性もあるので、同じ部位だけに負荷がかからないような正しい体の使い方を身につける必要があります。

【ストレッチの習慣を身につける】

骨の成長と筋肉の成長にはタイムラグがあります。
骨が伸びたあと、筋肉が骨に合わせて伸びるので急に身長が伸びた時は体が硬くなりやすいです。
運動前後はしっかりとストレッチをおこなうようにしましょう。

「子供たちの未来を守るために」

スポーツ指導者や保護者の方の意見、同じチームで練習しているメンバーの姿を見て子供は【練習しながら治したい】と思うものです。
もちろん練習しながらケガが治れば一番良いのですが、中には体育などを含むすべての運動を中止しなければならないケガもあります。
その代表的なケガが、【腰椎分離症】です。

腰椎分離症は腰の疲労骨折のことですが、初期であれば3〜6か月の運動制限と硬性コルセットの固定でしっかり骨がくっつき完治します。
しかし、進行期になると骨癒合(骨がくっつく)の可能性が低くなり、終末期になると骨癒合0%という研究報告もあります。

骨癒合ができないということは、骨が一生くっつかないということです。
そうなった場合、子供が慢性的に腰痛を患う後遺症を残す可能性もありますし、両側が分離してしまうと分離すべり症に移行するリスクも高まります。
その為、早期発見と積極的に骨癒合させる対応が重要なのです。
私たち医療関係者にとっても、子供に運動制限を伝える時は心が痛みます。
しかし、その子の未来を考えると数か月の時間が必要な時もあるのです。
子供の未来を守るためにも、ご理解いただけたら幸いです。

LS森本鍼灸整骨院では、最新の研究や医学的裏付けのある情報などを元に安心安全な医療を目指しています。
治療やリハビリだけでなく、必要に応じてお医者さんと連携しながら子供たちに最善の医療が提供できるよう努めています。
子供が痛みを訴えた際は、早期にご相談ください。